品質管理監査報告書2022
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議  長  挨  拶 令和3年度も、昨年度に引続き、新型コロナウイルスの影響で予定したとおりに事業の行えない年でした。そのような中にあっても、品質管理監査運営委員会の皆さまに知恵を出して頂き、また、監査員の皆様のご協力の下、公平に、かつ、厳正に品質管理監査を実施できましたことに感謝申し上げます。 2022年版土木学会コンクリート標準示方書[施工編]では、これまで現場練りコンクリートを中心に記載されていた内容を、生コンクリートを中心の内容に改訂します。今、一番の話題が呼び強度の選定です。生コンクリート工場が責任を負う下限規格値(品質保証値)は、呼び強度の強度値の0.85倍です。設計基準強度を、下限規格値にではなく、呼び強度を指定することに疑問に思われた人はいないでしょうか。 もっと、頭を悩ませているのは、生コンクリートの受入検査です。国や地方公共団体が管理する土木工事共通仕様書等では、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」に示される検査規定と同様の検査基準が示されている場合が多いと書かれています。 1)1回の試験結果は、指定した呼び強度の強度値の85%以上 2)3回の試験結果の平均値は、指定した呼び強度の強度値以上 0.85×呼び強度、呼び強度、1.15×呼び強度の3つの試験値が得られたとき、このロットは合格しても良いのでしょうか。0.95×呼び強度、0.95×呼び強度、0.95×呼び強度の3つの試験値が得られたとき、このロットは合格ではないのでしょうか。字面だけで判断すると、前者は合格、後者は不合格と思ってしまいます。計量抜取り検査を原則とする土木学会およびJISの受入検査として、今一度、基本に立ち返って議論が行われています。 最後になりますが、岡山県生コンクリート品質管理監査会議議長を長年務められた阪田憲次先生が令和3年11月2日にご逝去されました。品質管理監査制度の質の向上を目指され、土木学会コンクリート標準示方書[施工編]に「㊜マーク工場より選定しなければならない」ことを義務づけられました。阪田先生の意思を引継ぎ、品質管理監査制度の質の向上を目指すことは、残された私たちの使命です。鉄鋼とならぶ社会基盤を支える重要な材料であるコンクリートの製造に携わっている誇りを忘れず、私たちの責任を全うしたいと思います。阪田憲次先生の生コンクリート業界および建設業界に対する長年の功績に敬意を表し、謹んでお悔やみ申し上げます。  令和4年3月岡山県生コンクリート品質管理監査会議議長  綾 野 克 紀(岡山大学工学部都市環境創成コース 教授)

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